以前、息子が参加している野球チームの様子について、思うことをしたためました。
基本的に“褒められる”ことが多く、失敗やできなさを“責められる”ことはありません。緊張感はなく、楽しい雰囲気だと書きました。
コーチやチームメンバーに対するマナーや態度、練習の邪魔になるような行為については厳しいのですが、運動能力というか“プレイの上手下手”については、おおらかな印象を受けました。
今回は、年齢をかさねるにつれて段々と本格的になってきた野球の練習や試合をみていて感じたこと、疑問に思うことを書いてみます。
オーストラリアの野球・リトルリーグ
プレップではじめた野球も、4年生まで続いています。年齢層によってどのリーグに所属するのかが決まるので、メンバー間に大きな歳の差はみられません。その子のスキルによっては1つ上のチームに配属されたり、昨年同様のチームのままということもあります。
例えば、リトルリーグには“マイナー”と“メジャー”があり、メジャーのほうが上手です。
毎年、シーズンがはじまる前に「野球、どうする?」と息子に意思を確認しています。今シーズンは何度も確認しました。年齢的に、1つ上のリーグ(リトルリーグ)に所属するんだろうなとわかっていたからです。
2〜3年生が対象だったルーキーボールとは試合の形態が異なり、リトルリーグはより本格的になります。きっとチームメンバーも本気で勝ちたい子たちが真剣にプレイするんだろうな〜と予測したからです。
息子はのんびりしているというか、「もっと打てるようになりたい!」とか「もっと早く走れるようになりたい!」という熱意があまり感じられず、どちらかというと“楽しいから参加している”感が全身からにじみでています。
そんなに気楽な態度でいて、リトルリーグでやっていけるのかな? と思ったわけです。
リトルリーグにもなると、守備がどことは決まっていなくても(それぞれ交代で持ちまわり、シーズン終盤にはだいたい決まってきます)、ちゃんと審判が配置され、ストライクやボール、アウトの数をカウントし、“勝ち負け”がはっきりするルールになっています。
花形のピッチャーを希望する子は多いのですが(みんな自己主張が強い!)、子どもの身体の負担にならないように、1試合で投げてもいいのは35球までとか、ファーボールになるとコーチが代わりに投げるとか、1回で4得点あげると攻守交代になるなど、リトルリーグ独特のルールに従って試合をしています。
練習日が週2回に加え週末の試合と、保護者も忙しくなります。
以上は息子が所属しているチームやリーグについてわたしなりの理解です。
“くやしさ”や“向上心”はどのように芽生えるのか?
今シーズンはお天気に恵まれ、毎週末に試合がありました。息子にピッチャーの役割が2回、まわってきました。その場で観戦している親として、そわそわドキドキ、ひじょ〜に心許ない時間を過ごしました。
というのも、練習をみているときから、息子の投げ方と飛距離がほかのメンバーと違うことはわかっていました。コーチやアシスタントコーチが個別特訓してくれて、だんだんマシにはなってきたのですが、試合で投げられるほどにはなっていなかったんですよね。
ボールをキャッチするときにも怖がっているというか、ほとんどの場合で落とすし、相手によってはキャッチボールが続かないなんてことも……。
そしてコーチからは練習用のボールまでいただき、自主練習のコツも教えてもらいました。それなのに、「投げる練習する?」と声をかけても、肝心の息子には「家でも練習しよう!」という気持ちがありません。
試合中はというと、コーチや応援する大人たちからの声かけは、やっぱり「Good Try!」「Nice Pitch!」なんですよね。ストライクがきまらなかったり、打てなかったりしても「Bad Luck!」とか「Unlucky!」、みたいな。
それはいいことだと思うんですけど。みんな伸び伸びとプレイしているし、楽しそうだし。でも、それだと息子の“くやしさ”や“向上心”は芽生えてきません。見守る保護者として、なんだかはがゆい気持ちになります。
さいごに
印象的だったコーチからの言葉があります。
ある試合の朝、グラウンドに到着すると「今日のピッチャーは息子さんに決めたよ!」と声をかけてくれました。わたしは「え〜、そんなん無理! 打者までボールがとどかへんのに?」と口にだしはしなかったものの、動揺しました。
続くコーチの言葉が「息子さんにも輝く瞬間を!」「シーズンがはじまってからの上達っぷりは100パーセントだから、大丈夫!」でした。
ありがたいのと恐縮とで、とっても複雑な気持ちでした。そんな見方もあるのか〜と。
試合後の息子に「どうだった?」ときくと「よかった!」と満面の笑み。ボールが全然とどいていなくても、“くやしさ”はないんですよね。
息子の投球中、コーチもチームメンバーも、観戦中の大人たちも、温かい声援と励ましの声をおくってくれたので、息子は、言葉通り、“楽しかった”のでしょう。
こういう環境だと、劣等感を持つことにはならなくても、“できなくてくやしい”という意識が芽生えません。スポーツでも楽器でも、本人が心から楽しいと思うのなら、“もっと上手になりたい!”という向上心は芽生えるはず。息子の場合は、それが野球ではないということにすぎないのかもしれません。
自分がどうだったかを振り返りながらも息子をみていますが、子育て中には「なんだかな〜」ということが次々にでてきますね。