オーストラリアの小学校では、授業のほかに、いろいろな活動が盛んです。リーディングプログラムや算数の能力を楽しみながら上げていくもの、楽器練習とコンサート、ダンスレッスン、ディベート、スポーツなどなど。
日本の部活動のようなものではなく、参加は自由で、やりたくなければやらないでいいというものがけっこうあります。
ほかに“係”のようなものもあります。
オーストラリアの小学校にも“係”がある?
息子は5年生です。高学年になってくると、活動のほかに、“係”があるようです。
学期ごとの集会にでむくと、保護者席を準備したり、授賞式の様子や受賞者の笑顔を撮影したり、司会を担当したりしている生徒たちを目にします。
これらの仕事は、“スクールカウンシル”と呼ばれる学級委員のような生徒たちが担っているようです。立候補があって、投票で選ぶようですね。
オーストラリアの小学校では募金活動が盛んで、タームごとに何かしらの募金イベントがあります。その日に集金してまわるのも係の仕事です。
息子は5年生になってから、休み時間にみんなが使用するスポーツ用具の貸し出しと返却を管理する係をかってでていました。
スクールカウンシル以外の係は、「やりたい!」と自分から手をあげたら、投票なしでなれるようです。
「Peer Mentor(ピアメンター)」になるために
ある日の帰り道、息子は「お母さん、僕はPeer Mentor(ピアメンター)になろうと思う」と言いました。初耳です。
“Peer Mentor(ピアメンター)”とは何ぞや? というところから会話がはじまりました。
話をきいて、年下の子たちが仲良く遊べるように見守ったり、トラブルがあったときに双方をサポートする係だとイメージしました。
そして、ピアメンターになるためには研修を受けないといけません。スクールチャプレン(息子の学校ではスクールカウンセラーのような存在。宗教とは関係ないようです)のもとで指導がおこなわれました。
この研修を受けることについてのレターが学校から届き、宗教的な意味合いや目的はまったくないとしたうえで、保護者のサインが必要でした。
研修は数回にわたり、1冊のワークブックを使って進められたようです。最後のページに、スクールチャプレンと担任の先生、保護者のサインが必要でした。
息子からサインを求められたときにワークブックにざっと目を通してみたら、けっこうおもしろかったです。“Win Win approach”だなんて、大人顔負けのトラブル対処法ですよね。
そもそも、トラブルがあったときに「その問題に対峙するのは先生の仕事か? ピアメンターの仕事か?」の判断が必要なので、そこを生徒自身で判断できるようになるためのワークもありました。
さらに“Conflict(対立)”についての認識や、対立があったときの人間の感情的な反応、気分を落ち着かせるための仕組みやステップなどなど、ピアメンターになるためのワークブックはけっこう中身が濃かったです(笑)。
ピアメンターとしての活動を通じて
息子はピアメンターとして1週間に1回、お友だちと一緒に活動していますが、いいことばかりではないようです。
2年生くらいの子たちが長い木の棒を激しくふりまわしていたので声をかけたところ、怒鳴りかえされたそうです。その状況をシュンとして話してくれました。
理不尽なことに直面したり嫌な気分になったりすることもある。そういうことを息子が体験するのも大事だなと、最近、感じています。そして、そのときに自分が何を考えるのか? 気の持ちよう(気持ちの置きどころ)含めて、そこから次の行動はどうするのか? 考える経験をたくさんしてほしいと思います。
息子が通う小学校には“Buddy Benches”というベンチがグラウンドごとに置いてあります。ひとりぼっちで寂しい思いをしていたり、遊ぶ相手がいなかったりするとき、Buddy Benchesに座ってみよう。もし誰かが座っているのを見かけたら、声をかけてみようという取り組みです。
声をかけるのは先生だったり生徒だったりするようですが、ピアメンターの仕事でもあるようです。
普段、仲良しグループで遊んだり大勢でサッカーをしていたりすると気がつかないことも、ピアメンターの活動中だと意識できることがあります。
Buddy Benchesだけではなく、息子にとって、まわりを見てみるいい機会になるのではないかな。
さいごに
5年生にもなると、学校であった出来事に腹をたてて帰ってくることもあります。これからいろいろな問題もおこるんだと思います。
ピアメンターの活動をしてく中で、お友だちに対して、他学年の生徒たちに対して、起こったことに対して、あるいは先生方に対して、思うところがでてくるかもしれません。
そのすべてをわたしに話すわけではないと思いますが、いろいろな話をきくのが楽しみでもあります。